2000年01月25日 荒木先生(長岡高専)の幻のレポート

幻の100kmマラソンレポート復活。

 何年前でしょうか、長岡高専の荒木信夫先生が、技大環境研究室のサーバーにある文章をアップロードしたことがありました。それは、本ホームページのゲストブックでも話題になっていた、100kmマラソンのレポートです。どうしようか迷ったのですが、捨ててしまうにはもったいない、おもしろい文章ですので、ここに掲載してしまいます。

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くびき野100kmマラソン

1996.10.26

 2時に起床。いつものことながら大会前日の眠りは浅く、1時過ぎからウトウトしていた。炊き込みご飯を食べて2時半に車で出発。外は雨模様、天気予報は「曇り後雨、前線が通過するため風が強くなる」と報じていた。100kmが初めてのせいか、たった一人で参加したせいか、どうもスタート地点は居心地が悪く、早く走り始めたい気分であった。小雨の中、5:30にスタート、無風、生暖かい。暗闇の中を大集団で走るため、走りづらい。どうせ長丁場だとあきらめ、よたよた道路の端をJogging気分で走る。朝が早いせいか、走り出しの調子はよくない。VAAMと液体デキストリンの取りすぎのためか10kmまでに2回も立ちションする。
10km、53.33、53.33mins/10km

 平坦な道を走っているわりには息が上がり気味で調子悪い。15kmほど行くと空がぼんやりと明るくなり始めたが、分厚い雲が垂れ込めており気分は優れない。スタート時に降っていた小雨はあがってしまった。コースは20km手前からやや登り始め、約300mの峠へと差し掛かる。トレーニングではアップダウンを走ることが多いので、やっといつもの調子が戻ってくる。23km地点のレストエイドではバナナとおにぎりを鷲掴みにし、走りながら補給する。
25km、2.13.42、53.26mins/10km

 峠越え区間であるが、調子が戻ってきたせいもあり、沿道の応援のおばちゃんと軽く会話を交わす余裕有り。エイドステーションでは必ずバナナ1切れを取るようにした。2つ瘤の峠はほとんど苦にならない状態で通過し、下りとなる。残り70kmを考えると下りのダメージは致命傷になると考え、とにかく慎重にゆっくりと走る。峠を下り切って平坦になったところで、大島村ゴールの50km参加者と分かれる。100km参加者だけになると急に回りのランナーの数が減り、寂しくなる。それにしても何位くらいを走っているのだろうか。ゆっくり走っているわりには足にダメージがきているので、後半戦が恐くなる。
35km、3.08.57、55.15mins/10km

 足の筋肉は張り始めたが、絶好調となる。雨は完全にあがり、ついつい調子にのって飛ばしてしまう。国道253を渡るために信号待ちをさせられるが、30秒程の時間ももったいない気分でイライラする。調子の良いときはこんなものである。ちょうどフルマラソンの距離を3時間45分で通過する。その直後の吉川町への小さな峠越えの最中に滝のようなドシャ降りとなる。急いでビニールの雨合羽を着込む。一瞬にして道路は川のようになり、峠の頂上では強風のためエイドステーションのテントが吹き飛ばされそうになっていた。気温も急激に低下したためか、合羽を着ていても寒くなってきた。ドシャ降りの雨は 20分程で弱まるが、風はどんどん強くなってくる。
50km、4.26.44、51.51mins/10km

 52km地点のレストエイドで小休止、VAAMとカーボショッツを補給する。3分ほどかけてストレッチングを行うが、膝を曲げて屈むのが相当苦しくなってきた。暖かいうどんを食べて後ろ髪を引かれる思いで出発。古傷である左足の股関節が鈍く痛み出しはじめた。吉川町から海岸線の柿崎に続く田圃の一本道を行くが、左斜め前からの風が強く、やや左に傾いて走るため、左足の股関節の痛みが急に強まる。風は時間とともに強まってくる感じで、突風にあおられるとよろける程になる。指先が悴んで感覚がなくなる。雨合羽に風がはらんでまったく走りづらい。柿崎町役場のエイドステーションに逃げ込んだ時は、鼻水がダラダラで、歯がガチガチ状態であった。ちなみに、ランパンにTシャツとランシャツを重ね着しただけで、その上にビニールの透明のレインコートといういでたちであった。長袖シャツとタイツをトランジットに置かなかったことを後悔する。
60km、5.31.01、1.04.17mins/10km(5mins程度の休憩を含む)

 柿崎から大潟町までは多少のアップダウンはあるものの、風向が真横となるため、柿崎までの10kmに比べれば走り易くなる。しかし、寒くて寒くて調子がでない。おまけに雨足も強くなってきた。60km~65kmは急激に消耗した感じで、後続に抜かれ出す。左足の股関節の痛みはますます酷くなり、平目筋にも痙攣がきそうなので、エイドごとにエアーサロンパスを吹きかける。完走は無理じゃないかなと弱気な考えが頭をよぎり始める。オレンジ色のゴミ袋をかぶったランナーに無理をして付いて走る。わずかにスピードアップしただけであるが、身体が暖かくなり気力が復活する。まさに復活である。
70km、6.33.18、1.02.17mins/10km

 大潟町から直江津まではやや内陸を走る。風はやや追い風か、真横から吹くためそれほど気にならなくなる。調子が出てくると体も暖まり、そのままゴールまで走り込めるような気分になる。ひたすら平坦で直線の長い田圃の一本道を走りきって75kmのレストエイド。暖かいものを取りたいが見あたらないので、カーボジェルを水と共に流し込む。3分ほどストレッチングをして出発。雨足が強くなり、道路にできた水たまりの中を走ることが多くなる。雨の中、エイドステーションを守っていてくれるおばちゃん達に感謝しながら、1kmづつ増えていく距離表示だけを励みに走る。復活劇も陰をひそめ、左足股関節が痛いために足を引きずるように走る。このあたりになるとランナーの数も少なくなるが、見かけるランナーはガッシリとした体格の人が多く、私のレベルでは細身の人が多いフルマラソンとはだいぶ違った雰囲気を感じる。
80km、7.36.05、1.02.47mins/10km(5mins程度の休憩を含む)

 直江津からは風が真向かいとなり、急速に体が冷えていく。立て続けに立ちションをする。左足の痙攣症候群が再発し、エイドステーションで大量のエアーサロンパスを吹きかける。海岸線に出てからはさらに風が強くなり、突風が来るときは立ち止ってしまう状態になる。雨は横殴りとなるため、合羽の袖や裾から吹き込んでくる。水族館の85kmエイドステーションの入口で突風に煽られ、よろけて転びそうになる。両足、特に左足が棒状態になりつつある。足首、膝の関節、筋が猛烈に痛む。勇気を振り絞って85kmエイドステーションを後にする。海岸線の風はますます強くなり、はじけた潮が飛んでくる。コースは国道8号線の歩道に出たが、そうとう前後を見渡せるものの、前後方に一人づつが見える程度で、もうみんなは85kmエイドステーションで棄権をしたのではないかと考えてしまう。ひたすら滅入ってしまう気分をはらすため365歩のマーチを繰り返しつぶやきながら走る。国道を渡る地下道をくぐって自転車専用道路に出る。もう早歩きよりも遅いくらいのスピードになる。小雨にはなってきたが、全身に疲労感が襲う。ゴール後に毛布にくるまって寝ころぶような情景が頭の中を飛んでいく。
90km、8.50.16、1.14.10mins/10km

 自転車道は山肌にあるためまともに風を受けなく、多少は走り易くなる。もし、晴れていたら日本海の夕日を見ながら感動のゴールに向かうはずだったのに・・。どうにか走りきれば10時間が切れそうだぞ。しかし、自転車道に入って10人ほどのランナーに抜かれる。70km付近で復活したときにもう少しセーブして走っていればここまでペースダウンしないで済んだのにと後悔する。女性やどう見ても私より年輩(相当年輩に見える)のランナーに簡単に追い越されてしまう。エイドステーションで優しい応援の言葉を掛けられると目頭が熱くなってしまった。たぶん最後であろうエイドステーションでパンを頂く。もう言葉を発することもできないくらいに消耗していたが、どうにか笑顔を作って「ありがとね」という。涙がこぼれそうになったので急いでその場を後にした。ゴールの名立町の中に入ってきた。沿道の応援に助けられて再復活である。ゴール!
100km、10.05.27、1.15.11mins/10km

  出走 807名(男子724名、女子83名)
  完走 532名(男子479名、女子53名)
  順位 総合64位(男子62位=2名の女子(おばちゃん)が私より早かった)

 御精読ありがとうございました。なお、このファイルは自動的に消滅します。とはいかないので、ゴミ箱に捨ててください。

 荒木信夫(長岡工業高等専門学校)

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