嫌気性生物処理を主体としたバイオエタノール製造工程廃水の処理に関する研究

近年、バイオエタノールは石油の代替燃料として注目されています。特に、サトウキビ・エタノール(ケーンエタノール)はエネルギー収支(output/input)が8とコーンエタノールの1.3に比べ高く、日本でもバイオマス・ニッポン総合戦略においてサトウキビからの燃料用エタノールの製造とE3実証実験が沖縄で行われています。しかしながら、エタノールは製造工程において発酵廃液や蒸留廃液といった廃液や洗缶廃水といった廃水が排出され、例えば蒸留廃液でエタノールの約10倍量が排出されます。これらの廃液は弱酸性で有機物を高濃度に有し、サトウキビに由来するカリウム等の無機塩を含み、メラノイジンに代表される生物難分解性の色素物質により濃茶褐色を呈するといった特徴があります。日本におけるエタノール産業の歴史は戦前から有り、糖蜜を原料としたエタノール生産は戦後に普及しました。廃液の処理にはメタン発酵法が用いられていました。しかし、1972年の水質汚濁防止法の制定や、ロンドン条約により海洋投棄が禁止され、地球環境的な規制が高まるなか、廃液処理が困難となり糖蜜からの発酵が廃止され生産拠点の海外移転や国内産業の縮小が行われました。当時のメタン発酵法では、1)メタン生成菌の増殖速度が遅いため、10〜30日の滞留時間を要する。2)メタン発酵処理では十分な処理水質が得られず、後段処理に活性汚泥法を用いることになり、曝気電力を要する。3)活性汚泥処理でも十分な処理水質を得られない。4)COD成分である着色物質が除去できない等の問題があり、排水基準を満たそうとすると経済的に成立しないという問題が有りました。

近年では、UASB(Upflow Anaerobic Sludge Bed ;上昇流嫌気性汚泥床、グラニュール(嫌気性微生物凝集体)を用いたメタン発酵による嫌気性処理法)法の開発により高速処理が可能となったため処理時間の短縮が可能であり、また、UASBの後段処理として省エネルギー型の好気性処理法のDHS(Downflow Hanging Sponge;下降流懸架式スポンジ、ポリウレタンスポンジを生物保持担体として用いた散水ろ床式生物膜法)法が開発・研究されており、経済的にもより低コストでの処理ができるようになりました。

そこで本研究ではバイオエタノール製造工程から発生する廃水の処理システムとしてUASB/DHS/ASB(Anaerobic Sludge Bed;嫌気性汚泥床、 脱窒槽)システムを提案し、処理特性及び性能評価を行っています。近年、バイオエタノールは石油の代替燃料として注目されています。

平岡大雅

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